顕本法華宗 総本山 妙満寺
比叡山の頂がほんのり白く染まるころ
全てと調和した「雪の庭」の真髄に触れる
洛北・岩倉に、冬にこそ訪れたい場所がある。顕本法華宗の総本山、妙満寺の「雪の庭」だ。比叡山を借景とした枯山水庭園で、京都の名庭「雪月花の三庭苑」の一つに数えられる。作庭したのは、俳諧(俳句)の祖といわれる松永貞徳。その特徴的な石組みが表すのは、冠雪した比叡山から流れ出る清らかな水の流れ。それが川となり、やがて野へ、人の住む場所へと広がってゆく。彼方に望む比叡山、庭、そして本坊の建物が一体となった、自然との調和の美が感じられる。松永貞徳が目指すその世界観は、2022年「令和の改修」によっていっそう鮮やかに蘇った。苔と白砂がのびやかな曲線を描き、五条大橋橋脚を用いた蹲(つくばい)には、妙満寺の歴史が息づいている。
妙満寺は、室町時代の創建当初、六条坊門室町(現在の烏丸五条あたり)にあった。その後、幾度かの兵火に遭って移築を繰り返し、昭和43年、都市化が進んだ寺町二条から、喧騒を避けるために岩倉へ。現在は一年を通して混雑することなくゆっくりと過ごせる場所となっている。春は桜やつつじ、初夏は蓮、秋は紅葉と、境内では季節ごとに様々な花木が楽しめる。また、荘厳な仏舎利大塔、紀州道成寺の伝説にゆかりのある「安珍・清姫の鐘」など、見どころも多いので、ぜひ一度訪れてみて欲しい。
取材・文/junko ikeuchi
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